行ってみて！てのひらのような小さな美術館
掌美術館。
圓徳院境内にあり、ショッピングゾーン京・楽市「ねね」の
二階にある名前の通り、てのひらのような小さな美術館です。
北政所ねねの後半生を彩った蒔絵の調度品や絵画、
その他さまざまな工芸品がおさめられています。
私が一番興味を惹かれ、見入ってしまったのが
“六道”の世界を描いた“六観音図”を描いた掛け軸。
“六道”とは生きものが六つの世界を
輪廻して繰り返すという考えで、
天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道、
そのそれぞれで救済する観音様を描いたものです
天道にいらっしゃる観音様は心なしか物憂げで、
気だるい雰囲気をしていらっしゃいます。
ところが地獄界ともなると、
「あ〜忙しい」
「えらいこっちゃ」
てな感じで、腕が千本もあり、それをフル稼働させても
まだまだ足りない感じ。
観音様も、派遣先によって様子が全く違ってくるのですね。
しかしながら、天道とは天人が住まう世界であり、
天人とは、人間より優れた存在であり寿命がなく苦しみも人間界に比べると
ほとんどない世界。また、空を飛ぶことができ
享楽のうちに生涯を過ごすといわれるが、
しかし！煩悩から解き放たれていない・・・・・。
なんと。
ほとんど不自由のない世界にいながら、まだ煩悩はある。
て、ことは、それに囚われてしまうと、
また人間界やその下の世界に逆戻りってこと？
なんとも危うい。
この世界の観音様のアンニュイな表情は、
そのせいだったのかと、なんとなく。
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