真っ暗!仏さまの胎内めぐり
清水寺随求堂(ずいくどう)は、胎内めぐりのお堂です。
胎内めぐりとは、霊場を仏の胎内に見立てて参拝することです。
ここでわたし達がめぐるのは本尊の大随求菩薩のお腹の中。
どんな願い求めにもすぐに叶うよう働きかけて下さる
慈悲深い母上仏です。
中は、本当に何も見えない真っ暗闇で、入り口を入って一瞬ためらうほどの
暗さ。
左側の壁伝いに続く数珠の道しるべだけを頼りに
ゆっくり奥へ進んで行きます。
本当に、一点の明るさもない真っ暗闇なので、
その数珠を離してしまったら、自分がいったいどこにいるのか、
全く見当がつかなくなってしまいます。
こんなところで遭難してしまうなんて、冗談じゃなく、怖い。
母親の胎内とは本当にこんなに暗いのでしょうか。
私としては、なんとなく薄暗いオレンジ色の電球のような世界を
想像してしまうのですが。
滝のように汗が流れるのに、中は不思議と凛とした空気。
目の前を子供連れのお父さんが歩いていて、
途中二度ほどぶつかってしまいました。
子供は三歳まで前世や生まれる前の記憶を覚えているそうですが、
こんな真っ暗闇の中で、自分はいったい何を聞き、何を思い、
時々母親の腹を蹴っていたのだろうかと思います。
しばらくすると、梵字の(ハラ)という文字が書かれた丸い石が
ほのかな明かりに照らされて見えてきますから、
その石を回しながら、願い事を唱えて下さい。
明けの明星を見て悟りを開かれたお釈迦さまのようにはいきませんが
出口の明かりが見え、無事外へ脱出したときは、
なんだか清清しい気持ちです。
<清水寺の入り口は別名“目隠し門” 清水寺本堂から映画のワンシーン>